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理事長からのご挨拶

国際人権法学会理事長(第13期)
小畑 郁

理事長 小畑 郁

 2024年11月から3年間、本学会の理事長を務めることになりました、小畑郁です。なにとぞよろしくお願い申し上げます。

 本学会は、世界人権宣言採択40周年にあたる1988年12月に発足しました。学会会則には、「人権をめぐる国際的および国内的諸問題を、関連学問諸領域の協力によって研究」する、とその目的が謳われています。以来本学会は、36年にわたる歴史を歩んできましたが、私は、今ほど、この学会とその会員の活躍が期待される時代はない、と考えています。

 それは、一つには、地球規模の人間社会の危機が、私たちの足下のいのちと暮らしに大きな影響を及ぼしているからです。核兵器使用の公然たる威嚇を伴う武力紛争が、「味方」でなければ「敵」だとみなす、という世界分断の論理を伴って拡大・深刻化しています。さらにそこでは、「敵」は、「人間の皮をかぶったケダモノhuman animals」とされており、人間としての命の保障すら奪われている状況が日々続いているわけです。もう一つには、戦後復興を成し遂げたポテンシャルと同調圧力とがコインの裏表であった日本社会が、周辺化された人々に対する「不可視」の人権侵害を伴っていたことが、ようやく明るみにだされてきたからです。外国人を裁判にかけることなく無期限収容する体制や優生保護法の問題がここでは想起されるでしょう。国民国家(経済)の担い手と評価されなくても、人として認められる権利や身体の完全性への権利が否定されてはなりません。国際的には世界人権宣言以来認められてきた「人権」の思想が、ようやく日本社会においても当然のものと認められはじめたのだと考えられます。

 こうして「国際的なかかわりの中の人権を考える」(設立趣意書)ことは、今日、法学その他の関連諸学問領域にとって、避けては通れない道であることは疑いありません。もとより「より系統的」にという要請と「より学際的」にという要請(同)とを両立させることは、途方もなく困難な道ではあり、現在本学会に与えられたリソースの制限の下では、なし得ることは多くなく、社会とすべての会員の皆さまの期待に常に応え続けることは、極度に困難です。一定の絞り込みをせざるをえませんが、私としては、この3年間留意してはどうか、という3つのポイントをガイドラインとして提示したいと考えています。

 第1に、どんな細かな人権問題を取り上げるときでも、いわば「国際審級」を常に意識する、ということです。第2に、裁判を意識するとしても、それだけにはならない、非「裁断法」アプローチを追求する、ということです。第3に、国際交流については、少なくとも当面、対アジアを重視する、ということです。

 このガイドラインをどのように修正・具体化するかは、各委員会のイニシアチヴを尊重しながら、さらに理事会を中心に議論していきたいと考えています。

 最後に、この学会の活動に関心をもち、その目的に賛同される方、つまり、国際的な関わりのなかで人権問題を研究し、それを通じて人権の伸長に貢献しようという志のある方には、是非とも入会を検討いただけますよう、お願い申し上げます。


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